2010年01月19日

280~287 モーツァルト


280 モ-ツァルト 交響曲第40番ト短調 K.550

 この曲と交響曲41番はよくカップリングされる。そのカップリングでアバドがロンドンso.を振った1980年の録音(41番が79年。グラモフォン)を推す。1970年代のアバドは最も勢いのある時期で、ロンドンのオ-ケストラを振って立て続けに大きなヒットを放っていた。70年代後半からはヨ-ロッパのオケとアメリカのオケでマ-ラ-を振るようになり、そのピ-クの終わり(1980年代おわり)でBPOに就任して凋落の道をたどる。いまアバドのマ-ラ-をきくと「この演奏のどこがいいんだ」と思うが当時はBPOの理事会も目眩ましを食ったのだ。そのアバドが「本当に良かった」時期の傑作がこのモ-ツァルト録音(グルダと入れた協奏曲も含めて)である。


281 モ-ツァルト 交響曲第41番ハ長調「ジュピタ-」 K.551

 この曲の冒頭の「威風堂々」といった感じから終楽章の小林秀雄『モオツァルト』で言えば「主題を梃子にして旋律が奇跡のようにゆらめく」状況までをあますところなく満足させるのは至難のわざである。280でアバド/LSOを挙げたのでセカンド・チョイスになるがベ-ム/BPOの演奏は凄かった。1枚もので出ていたら買ってみることをお薦めしておく。セル/クリ-ヴランドo.も素晴らしい。これはときどき外盤で35番「ハフナ-」とカップリングになっていることがあり、大変な徳用と言える(わたしが所有する盤では35、40、41番のカップリングになっている)。


282 モ-ツァルト セレナ-ド第7番ニ長調「ハフナ-」
                          K.250(248b)

283 モ-ツァルト セレナ-ド第10番変ロ長調「グラン・パルティ-タ」
                          K.361(370a)

284 モ-ツァルト セレナ-ド第13番ト長調
             「アイネ・クライネ・ナハトムジ-ク」 K.525

 セレナ-ドという分野は「モ-ツァルトの管弦楽曲」というとらえかたのできるジャンルだ。前の項目でも述べたように、この分野ではベ-ム/BPOが偉大な業績をのこしている。外盤でセレナ-ド集のセットものがあったが、いまはどうだろうか。「ウインド・アンサンブル」(つまりフル-トやオ-ボエ、ファゴットの協奏曲)という組物もあってどちらも徳用であった。評価はセレナ-ド集と管楽アンサンブル、いずれも最高点をつけうるが、管楽アンサンブルは個々の曲でいろいろ名盤もあるのでここではまずセレナ-ド集はベ-ム/BPOという括り方にしておく。
 1曲だけの選になって恐縮だが、284「アイネ・クライネ・ナハトムジ-ク」についてはベ-ム以外にセル/クリ-ヴランドo.の名演がある。セレナ-ドにしては正面きった演奏になっているが、弦のアンサンブルの精度が息をのむようなレヴェルであって、それでいて「コワモテ」にはなっていない。このへんが旧ソ連のオ-ケストラなどとの根本的な違いである。これもわたしの所有する外盤でモ-ツァルトの交響曲第28、33、35番とセレナ-ド第13番、そして歌劇「フィガロの結婚」序曲がカップリングになったものがある(セル/クリ-ヴランドo.ソニ-)。交響曲第41番のところで挙げた盤と交響曲35番がダブるが、廉価でこのカップリングはたいへん徳用である。インタ-ネット購入でソニ-の廉価盤(の外盤)を購入することができるのはまことに有り難い。


285 モ-ツァルト ディヴェルティメント K.136~138

 これにはいい演奏がある。マリナ-/アカデミ-室内o.(1967年。ロンドン)がそれだ。アンサンブルがキチッと統一されている点はセル/クリ-ヴランドo.などと同じで、この曲(特にK.136の第1楽章)は「疾走感」が大事なだけにそうした能力が活きてくる。以前友人に贈ろうと思ってインタ-ネットで調べたら廃盤だったことがあるので、二番手としてカラヤン/BPO(1968年。グラモフォン)を挙げよう。


286 モ-ツァルト ディヴェルティメント第17番ニ長調
                         K.334(320b)

 わたしには「地味だな」と思わせる曲で、なぜかあまりCDを取り出してきくことがない。ウィ-ン八重奏団員による1961年の録音(ロンドン)が評価の高いものだ。ブラ-ムスのホルン・トリオなんかが好きな人はこの曲にも親しみをおぼえるだろう。あくまでしっとりとした室内楽、といった印象である。編成の大きなカラヤン/BPO(1965年。グラモフォン)などできいたらイメ-ジも変わるのだろうか。


287 モ-ツァルト 協奏交響曲変ホ長調 K.364(320d)

 この曲もモ-ツァルトのスペシャリスト、セルの独壇場だ。セル/クリ-ヴランドo.にドルイアン(vn)、スカ-ニック(va)が参加して1963年に録音したディスクである(ソニ-)。わたしは勉強不足にしてこのドルイアン、スカ-ニックという人はクリ-ヴランドo.のリ-ダ-だと思っていたが、なんだかCSOやBSOのディスクでもこの名がクレジットされているのを見たことがあるような気がする。どなたか正確なところをお教えくださると幸いである。

  

Posted by コクマルガラス at 11:45Comments(0)TrackBack(0)
QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。 解除は→こちら
現在の読者数 0人
プロフィール
コクマルガラス