2010年01月18日

276~279 モーツァルト


276 モ-ツァルト 交響曲第35番ニ長調「ハフナ-」 K.385

 この曲の「リズム感覚」を見事にとらえてみせたのがセル/クリ-ヴランドo.である(1960年。ソニ-)。吉田秀和氏の表現を借用すれば「まるで射撃の名人の腕前を見るよう」な演奏である。これだけ快速なテンポでよくもまあメトリックを曖昧にせずに前面に出せるものだと感嘆させられる。セルの盤は外盤などで他の後期交響曲とカップリングされているし、廉価なので是非ともお薦めしたい。


277 モ-ツァルト 交響曲第36番ハ長調「リンツ」 K.425

 ワルタ-が1955年にコロンビア交響楽団(これはモノラル期の録音なので後年のステレオ期とちがってNYPが母体である。ステレオ期のコロンビア交響楽団はロスアンジェルス・フィルが母体で、いずれも権利上の問題から別称を使っていたことになる。モノラルとステレオでまったく違うオ-ケストラであるから注意されたし)を振ったディスクにはLP時代にリハ-サル風景がおまけでついていた。CD時代にもなんらかのボ-ナストラックでついているのかもしれないが、この練習風景はまことにワルタ-という指揮者のトレ-ニングを知る上で重要であった。なんとかして販売してもらいたいものだ。まあそのLPでのコロンビア響の演奏は意外にも凡庸な出来におわっているが、後年ステレオ期にコロンビア響(よってこれはLAPOが実体)を振ってなされた録音(1960年。ソニ-)の演奏は素晴らしいものになっている(ワルタ-は冒頭主題の演奏について同じ要求をしたと想像されるが、完全にできている。みごと!)。こうした経緯からだけでもワルタ-盤をもとめる価値はあるし、じっさい全曲を通して名演なのだから躊躇するいわれもない。


278 モ-ツァルト 交響曲第38番ニ長調「プラハ」 K.504

 10数年前わたしが買ったときのワルタ-/コロンビアso.のステレオ盤(1959年。ソニ-)は「リンツ」と抱き合わせになっていたが、ソニ-という会社はまことにずるい商売をやるようで、数年前にはカップリングが変わっていた。しかしそれをはずすとベ-ム/BPOくらいしか選ぶものがなくなる。違うカップリングでも泣く泣くもとめるしかないだろう。ワルタ-/コロンビアso.の後期モ-ツァルトにくずはないから2枚買うのもやむなしか。


279 モ-ツァルト 交響曲第39番変ホ長調 K.543

 これはベ-ム/BPOの演奏がいいのだが単発では出ていないようだ。ベ-ムのモ-ツァルトはセレナ-ドできくとしておこう。またぞろワルタ-のステレオ盤を出すのも芸がないので、このへんでホグウッド/エンシェント室内o.をきいておいてもいいかもしれない(1981~82年。オワゾリ-ル)。ク-ベリックもバ-ンスタインも、カラヤンもシュ-リヒトもダメですからご用心あれ。

  

Posted by コクマルガラス at 12:06Comments(0)TrackBack(0)
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