2010年01月08日
226~229 ハイドン~ホルスト
226 ハイドン ピアノ・ソナタ第52番変ホ長調 Hob.ⅩⅥ-52
モダン楽器できくのかオリジナル楽器できくのかで、わかれる。オリジナル楽器のポロンポロンという音色を愛する方にはビルソン(1982年。ノンサッチ)ということになるが、わたしはそうした「ヘタウマ」みたいな音がさほど好きではない。モダン楽器で正統派ならブレンデル(1985年。フィリップス)だがわたしには非正統派のグ-ルドのほうがはるかに面白かった(1981年。ソニ-)。
227 ハイドン オラトリオ「四季」 Hob.ⅩⅩⅠ-3
228の「天地創造」とならんで、わたしはハイドンのオラトリオが好きでない。CD2枚となるとなんとも長い曲にきこえてしまう。「夏」から「秋」にかけての8本のホルンの名人芸がききたいのならカラヤン/BPOの抜粋がいいと思う(1972年。グラモフォン)。
228 ハイドン オラトリオ「天地創造」 Hob.ⅩⅩⅠ-2
こうした長い曲の場合、カラヤン一流の「きかせ上手」はかえって裏目に出る。コッホ/ベルリン放送so.の「長いものは長いのだ。しっかりききなさい」というオモテ芸の方がいい(1974年。ドイッチェ・シャルプラッテン)。恐怖政治の東ドイツ下においてこういう素晴らしい演奏がなされていたという事実があることも知っておいたほうが面白い。
229 ホルスト 組曲「惑星」 Op.32、H.125
だいたいこの文章じたい「惑星」はもうきいたという方むけに書いているので、こういう曲が出てくるのは変なのだがぼやいても仕方がない。映画「2001年宇宙の旅」でキュ-ブリック監督が使ったのはカラヤン/VPO盤(1961年。ロンドン)である。映画のサウンドトラックCDにはベ-ム/VPOとクレジットされている(そしてサウンドトラックCDに録音されているのは実際にベームの演奏である)が、それは版権の問題からの嘘実である-と聞いた。カラヤンよりもう一段「語り上手」なのがプレヴィン/ロンドンso.で(1974年。EMI)、リズム感覚の冴えが素晴らしい。すこしひねったところで富田勲のシンセサイザ-版(1976年。RCA-BMGビクタ-)などはいかがだろうか。故柴田南雄氏が絶賛した物件である。