2010年01月17日
271~275 モーツァルト
271 モ-ツァルト 交響曲第25番ト短調 K.183(173dB)
272 モ-ツァルト 交響曲第29番イ長調 K.210(186a)
273 モ-ツァルト 交響曲第31番ニ長調「パリ」 K.297(300a)
274 モ-ツァルト 交響曲第33番変ロ長調 K.319
275 モ-ツァルト 交響曲第34番ハ長調 K.338
おおむね「中期」に分類される交響曲である。バラで1枚、また1枚ともとめてゆくのも楽しいが、後期の35番から41番までの6曲(37番を欠くため6曲になる)とちがって1曲ずつの解釈と言うよりは「ひとまとまり」として演奏される傾向が強い。
そこで問題は、あなたがどういう傾向の演奏を好むかになる。そしてあなたの好む傾向で「交響曲全集」をもとめてしまうことをまずお薦めする。それをたっぷりきいた後で後期交響曲を違う指揮者とオ-ケストラで1枚ずつきいてゆけば理解もはやい。
傾向1.古楽器演奏による歴史考証的演奏。
これにはホグウッドの全集がある。1980年代にはオ-ケストラの名前はエンシェント室内o.と呼ばれていたが吉田秀和氏が「書くたびに腹がたつ」と評してからはすこし変わったらしい。どっちにせよ学究的な面では立派かもしれないがまったくもってわたしの好みではない。全集を買って全部きいた男のいつわらざる感想である。
傾向2.モダン楽器によるロマンティックな演奏。
ワルタ-/コロンビア交響楽団とかカザルス/マ-ルボロ音楽院o.などの演奏がここに入る。しかしどちらも全集ではない(録音は後期に集中する)。全集があるものとしてはベ-ム/BPOの風格ゆたかな演奏がある。わたし個人としてはベ-ムの全集が最初のセットだったこともあって推したいが、モ-ツァルトにしてはちょっとばかり押し出しが強すぎるかなと思う(しかしベ-ムの構成力とBPOの演奏は素晴らしい!)。そんな具合でこれらは「あとから1枚ずつ聴く後期交響曲集」に分類してよさそうだ。
傾向3.折衷的な解釈でモダン楽器による演奏。
ジェフリ-・テイトがイギリス室内o.を振ったもの。ベ-ムの豪快にくらべてテイトの柔軟といえる。「すこし頼りないかな」と思うときもあるが、旋律に一本シンが通っていて噛むほどにあじわいが出てくる。ECOのすぐれた合奏力ゆえのことだろう。モ-ツァルトの解釈としてはこのへんがベストではないか。もうひとつ、これはわたしも買ったけれどまだききこんでいない全集としてマリナ-/アカデミ-室内o.によるフィリップスへの録音がある。2回ずつくらいはきいたのだが、その時点での評価ということでお許しいただければ「ちょっと曲ごとに指揮の視点がバラつく」という気がした。そこで現段階としてはテイトの全集を推す。
というわけで「まず買う全集」としてテイト/ECOのものを推薦する。