2010年02月07日

360~373 ラヴェル


360 ラヴェル スペイン狂詩曲

 ドビュッシ-の管弦楽曲の項で「ドビュッシ-はマルティノン、ラヴェルはクリュイタンス」という大雑把なことを書いたが、その感覚はこうしてラヴェルの管弦楽曲について書く段になっても変わらない。NHK交響楽団が指揮者にデュトワを迎えた時期にデュトワがフランスものを好んで取り上げたが、ドビュッシ-やラヴェルの拍節感はやはりN響には無理であった。「じゃあベ-ト-ヴェンやモ-ツァルトだって無理ということになるじゃないか」と云う議論もあるわけだが、何故かドイツものは無理がないみたいだ。そんなこんなでクリュイタンス/パリ音楽院o.の演奏を選ぶ(1961年。EMI)。


361 ラヴェル バレエ「ダフニスとクロエ」(全曲あるいは組曲)

 クリュイタンス/パリ音楽院o.ルネ・デュクロcho.(1962年。EMI)。


362 ラヴェル ボレロ

 アホみたいな曲である。これはわたしがそう思うのではなく、ラヴェルが作曲にあたって自分でそう言ったのだ。クリュイタンス/パリ音楽院o.(1961年。EMI)


363 ラヴェル バレエ「マ・メ-ル・ロワ」(全曲あるいは組曲)

 この曲についても全曲はクリュイタンス/パリ音楽院o.(1962年。EMI)を推薦するが、組曲はジュリ-ニが得意にしていた事実を忘れるわけにはいかない。ジュリ-ニ/LAPO(1979年。グラモフォン)。


364 ラヴェル バレエ「ラ・ヴァルス」

 拍節が微妙に変わってゆく曲だ。クリュイタンス/パリ音楽院o.(1961年。EMI)。その拍節の「むずかしさ」をニュアンスではなくアナリ-ゼで正面切ってとらえてみせたブ-レ-ズ/NYPの演奏(1974年。ソニ-)も面白い。


365 ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調

 金銭的に次項の「左手のためのピアノ協奏曲ニ長調」とカップリングになっていたほうが助かる。その点ではフランソワ、クリュイタンス/パリ音楽院o.(1959年。EMI)をまず推す。しかしベネディッティ=ミケランジェリが録音をのこしており、それがラフマニノフのピアノ協奏曲第4番とのカップリングということもあるので個人的にはこちらがベスト盤だ(グラチス/PO。1957年。EMI)。


366 ラヴェル 左手のためのピアノ協奏曲ニ長調

 いまのところフランソワ、クリュイタンス/パリ音楽院o.を凌駕する演奏はない、と書くと恰好がいいが、なにせ左手だけのピアノなので物凄いみたいな演奏はもともとできない。ぜんたいこの曲を単一で録音するピアニストが-両手のためのピアノ協奏曲も弾けるピアニストで-いるのだろうか。ちょっと変則的に古い録音でコルト-、ミュンシュ/パリ音楽院o.(1939年。EMI)をきいてみる、という手もある。


367 ラヴェル 弦楽四重奏曲ヘ長調

 ドビュッシ-の弦楽四重奏曲のところで、この曲とカップリングされることが多いと書いたように記憶する。やはりパレナンSQ(1969年。EMI)のあえかな表現にひときわ心ひかれる。アルバン・ベルクSQ(1984年。EMI)の歌心も素晴らしいものだけれど。


368 ラヴェル ク-プランの墓

 このあたりからラヴェルの「ピアノ曲」になってくる。いろいろなピアノ曲を取り上げたピアニストとしてはフランソワ(EMI)で過不足ないだろう。彼の弾きくずしが気になる人にはロジェ(ロンドン)やモニク・ア-ス(エラ-ト)を推薦しておく。わたし個人としてはこの曲の冒頭部分は木管の演奏でききたい。よってここでもクリュイタンス/パリ音楽院o.になる(1962年。EMI)。


369 ラヴェル 高雅にして感傷的なワルツ

 アルゲリッチ盤(1974年。グラモフォン)がベスト。


370 ラヴェル 水の戯れ

 アルゲリッチ盤(1960年。グラモフォン)。このディスクはアルゲリッチのデビュ-・レコ-ドで、まだ彼女がショパン・コンク-ルで優勝する以前のものだったと記憶する。そうした「箔」がつく以前から(とは言ってもロン-ティボ-国際コンク-ルなどですでに栄冠を手にしてはいたが)彼女は凄かった。


371 ラヴェル 亡き王女のためのパヴァ-ヌ

 冒頭のとぼとぼとした(こんな形容しか思い浮かばないとはお恥ずかしい)旋律は、わたしとしてはやはりホルン・ソロでききたい。クリュイタンス/パリ音楽院o.(1962年。EMI)。ピアノ演奏で、という方にはフランソワよりもアシュケナ-ジの方が静けさがあっていい(1983年。ロンドン)。

372 ラヴェル 夜のガスパ-ル

 アルゲリッチ盤(1974年。グラモフォン)がベスト。


373 ラヴェル 歌曲集「シェエラザ-ド」

 クレスパン、シュタ-デ、ノ-マンといったソプラノによっても曲のよさがわからずに困っていたが、ロス・アンヘレス、プレ-トル/パリ音楽院o.(1964年。EMI)でやっとわかった。このディスクにはショ-ソンの「愛と海の詩」がカップリングされており、それも素晴らしい出来である。

  

Posted by コクマルガラス at 15:39Comments(99)TrackBack(0)
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