2010年02月06日
355~359 ラフマニノフ
355 ラフマニノフ 交響曲第2番ホ短調
アシュケナ-ジが指揮者としてのキャリアを不動のものにしたのは、この曲をACOと録音した1981年(ロンドン)の盤からであると言って差し支えないだろう。彼はラフマニノフの交響曲全集を続けて録音しており、どの曲もベスト盤とするに値する。ほかに個人的愛聴盤としてプレヴィン/LSOの1973年のもの(ロンドン)があり、遙か遠くを見るような哀惜のイメ-ジを具現した指揮はこれまた必聴である。
356 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ短調
決定盤がある。リヒテルがヴィスロツキ/ワルシャワ国立o.と1959年に録音した盤(グラモフォン)がそれだ。最近ではカップリングがカラヤン/VSOと入れたチャイコフスキ-のピアノ協奏曲第1番になっており、それもベストなので必聴だ。西側に登場したばかりのリヒテルの強靱な打鍵をきくことができる。
357 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番ニ短調
ラフマニノフの「ふし」というものは交響曲でもピアノ協奏曲でも似たようなイメ-ジを喚起する。あえて言葉にすれば「望郷」とか「懐旧」であろうか。そのあたりの感覚とラフマニノフ一流の超絶技巧を両立させているのがホロヴィッツ盤だ。ライナ-/RCAso.といれた盤(1951年。RCA)もあるが、新しいライヴ録音(オ-マンディ/NYPとの共演。1978年。RCA)の方がコンディションがいい。それとカップリングされている「ピアノ・ソナタ第2番」(これもライヴ録音。1980年)が物凄いような演奏で、ホロヴィッツを知るのにうってつけである。
358 ラフマニノフ パガニ-ニの主題による狂詩曲
第18変奏をどのように弾くかでスタイルがきまる。わたしとしては「ハリウッド映画の巨大なクライマックスみたいに」やってほしい。その点でアシュケナ-ジの数回の録音はみんな失格。これはアシュケナ-ジだけの責任ではなくて、伴奏をした指揮者にも不満を鳴らしたいところ。そういう「煽りかた」がうまいのはなんといってもオ-マンディ/フィラデルフィアo.で、そこから逆算するとクライバ-ンの演奏(RCA)ということになる。
359 ラフマニノフ 前奏曲集(全曲あるいは選集)
まずはワイセンベルクの演奏(1968~70年。RCA)を挙げる。スケ-ルの大きさと打鍵の鮮やかさにおいてわたしはこの盤を凌ぐ演奏に出会ったことがない。わたしはピアノ演奏の録音をきいただけで音符の微妙な変更を言い当てる能力には恵まれていないけれど、ワイセンベルクの演奏は「異常なくらいに楽譜通り」なのではないかという気がする。この「なんだかものすごく正確」という感じはポリ-ニのショパン解釈などにも一脈通じるもので、1970年代の思潮のひとつではなかろうかという気がする。