2009年12月26日
147~160 ショパン
147 ショパン ピアノ協奏曲第1番ホ短調 Op.11
この曲の演奏については(「も」、と言うべきか)わたしは豪快な演奏が好きで、ショパンを女学生的センチメンタリズムで包み込むやり方には賛成できない。簡単に言えばバリバリ弾いてほしいのだ。ワイセンベルク、スクロヴァチェフスキ/パリ音楽院o.(1967年。EMI)の演奏が一番気に入っている。
148 ショパン ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 Op.21
多くの場合147の「第1番」とカップリングされる。ワイセンベルク盤もそうだから何も申し上げることもない。この文章を書くにあたってこうした局面にぶつかることが結構あるが、批評家であったとすれば何か通好みのする文章をこういうときに書かないといけない。ああ職業批評家でなくてよかった。
149 ショパン ピアノ・ソナタ第2番変ロ長調「葬送」 Op.35
アルゲリッチの盤もポリ-ニの盤も「ピアノ・ソナタ第2、3番」のカップリングである(LP時代とCD初発の時はアルゲリッチは2番と3番が各1枚ずつであった。LP時代に録音年の違いから別れたのをCDもひきずっていたのだ)。どちらをとってもよいが「練習曲」で必ずポリ-ニをとるからピアノ・ソナタではアルゲリッチを、とろう。2番は1974年の録音。グラモフォン。
150 ショパン ピアノ・ソナタ第3番ロ短調 Op.58
149に続いてアルゲリッチ。1967年録音。グラモフォン。
151 ショパン 前奏曲(全曲)
「練習曲」との対比、という意味で、前奏曲(プレリュ-ド)と練習曲(エチュ-ド)は同じ演奏家で選びたい。よってポリ-ニ盤。1974年。グラモフォン。
152 ショパン 練習曲(全曲)
ポリ-ニの1972年の盤は、音楽界にセンセ-ションを巻き起こした。ポリ-ニを語るうえでこの盤抜きでは、どうしようもない。グラモフォン。
153 ショパン 幻想曲ヘ短調 Op.49
どうも「この1枚」が選びにくい曲だ。決定盤が無いと言える。コルト-になるのかなあと思うが、わたしは録音の古い演奏がどうも好きでない。仕方なくアシュケナ-ジ盤を選ぶ(1978、79年。ロンドン)。ル-ビンシュタインの演奏ですか? わたしはル-ビンシュタインが好きでありません。
154 ショパン スケルツォ(全曲) Op.20、31、39、54
この曲は「バラ-ド」とカップリングされることが多い。その点も考慮してアシュケナ-ジの盤を選ぶ。1964年の旧盤と1975~85年の新盤があるが、この2曲に関して言えばまったく同じ、と言ってよい。ロンドン。
155 ショパン 即興曲(全曲) Op.29、36、51、66
この曲も決定盤が無い。とりあえずニュアンスのフランソワを選ぶ(EMI)。録音があまりよくないからこれも仕方なくル-ビンシュタインを次点に挙げておく(1964年録音。RCA)。
156 ショパン ポロネ-ズ(6曲以上)
これはもう、ポリ-ニの独壇場だ。1975年。グラモフォン。
157 ショパン バラ-ド(全曲) OP.23、38、47、52
154の「スケルツォ」とのカップリングという点からもアシュケナ-ジ盤が断然すぐれる。「バラ-ド」「スケルツォ」という演目についてはポリ-ニもアシュケナ-ジには及ばなかったと思う。旧盤、新盤のいずれもほとんどまったく同じ解釈だ。ロンドン。
158 ショパン マズルカ(全曲あるいは選集)
ル-ビンシュタインが三度全曲録音していて、愛着があるらしい。二度目のモノ-ラル録音(1953年。RCA)が最も覇気がある。これにくらべると三度目の録音(1965、66年。RCA)は柴田南雄氏の言を借りると「田舎親爺の鼻唄のような」演奏になっている。どっちを選ぶのだと問われればどっちも選ばない。わたしはベネディッティ=ミケランジェリの演奏が好きだ(選集。1971年。グラモフォン)。
159 ショパン 夜想曲(全曲あるいは選集)
これはわたしの中で決定盤の存在する曲だ。フ-・ツォンの演奏(1977年。ビクタ-)がそれだ。「瞑想的」という言葉がぴったりの演奏である。かなりルバ-トがかかるが、決して厭味にはならない。
160 ショパン ワルツ(14曲以上)
コルト-(1934年)やリパッティ(1947年)もたしかに「時代の証言」にはちがいないが、ファ-スト・チョイスにするには録音が悪すぎる。まずもってアシュケナ-ジ盤(1970~85年。ロンドン)であろう。アシュケナ-ジは「ワルツ集」という企画では録音をしていないので、全集録音の中からの抜粋で成立したCDである。