2009年12月16日
065~090 ベートーヴェン
065 ベ-ト-ヴェン ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調「春」 Op.24
066 ベ-ト-ヴェン ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調「クロイツェル」
Op.47
だいたい1枚のディスクに両方収録してあることの多い曲だ。どちらの曲にしてもさして演奏家を選ぶ作品ではない。だいたいパ-ルマンとアシュケナ-ジ(1973、74年録音。ドイツ・グラモフォン)の組み合わせか、オイストラフとオポ-リン(1962年録音。フィリップス)の組み合わせの二派にわかれる。前者がネアカにきっちり歌っていて、後者は大真面目で深刻だ。大昔(1930年代)にはフ-ベルマンとフリ-ドマンによる演奏が評価されていた。新即物主義にはいる以前の、表現主義の様式を知りたいと思われる方はご一聴あれ(録音はたいそう古い)。
067 ベ-ト-ヴェン チェロ・ソナタ第3番イ長調 Op.69
この曲のディスクには昔からロストロポ-ヴィチとリヒテルのものが推奨されるが、わたしとしてはベ-ト-ヴェンのチェロ・ソナタという曲目はもっと溌剌とした再現がほしいと思う。その要求に見事こたえているのがヨ-ヨ・マとアックスによる盤だ(1983年。ソニ-)。
068 ベ-ト-ヴェン チェロ・ソナタ第5番ニ長調 Op.102-2
067でのチェロ・ソナタ第3番とおなじことが言える。ヨ-ヨ-・マとアックスによる盤を推す(1983年。ソニ-)。
これは余談だがヨ-ヨ-・マを言うときに「マ」と言うことができにくいのはなぜだろうか。馬友友だから「マ」で正しいわけだが、語感がわるいからであろうか。ペ・ヨンジュンやチェ・ジウも「ペ」とか「チェ」とは言わないようだ。
069~090
ベ-ト-ヴェン ピアノ・ソナタ全集(第1~32番)
わたしが下敷きにしている『名曲名盤500』では067がピアノ・ソナタ全集の名盤選びになっていて、その後14ペ-ジを割いて作品番号順に090まで選考がなされている。つまりピアノ・ソナタが21曲、吟味されている。これから書く文章のなかに「きいておいて面白い盤」がすこし登場するが、それを除けばわたしの考えとして「全集をいきなり買ったほうが理解がはやい」と思う。それがグルダがアマデオ・レ-ベルに残した全集(1967)である。どの曲ひとつをとっても、スタンダ-ドな意味ではこれがトップの座にすわることに異議のあるひとはすくないのではないか。有名な「三大ソナタ」のひとつであるソナタ第14番嬰ハ短調「月光」の第3楽章の演奏にしても「完全にひけていてかつ美しい」とおもわれるのは、わたしにはグルダ盤だけである。
各論として「これは面白い」という盤を挙げるとすればグレン・グ-ルドのソナタ30番、31番、32番であろう(3曲まとめて1枚のディスクに入っている。1956年の録音だから「ゴルトベルク変奏曲」の録音の翌年である)。
あとギレリス、ポリ-ニ、リヒテル、バックハウス、アシュケナ-ジといった名人の名がつらなるが、いろんな盤をつごう50枚くらいもとめた身として「グルダ盤の全集になさい」という気持ちは、かわらない。