2009年12月20日

126~135 ブラームス


126 ブラ-ムス 弦楽四重奏曲第3番変ロ長調 Op.67

 この曲にも名盤がある。1976~77年にアルバン・ベルクSQがテルデックに録音した2枚組(ブラ-ムス:弦楽四重奏曲全3曲)がそれだ。アルバン・ベルクSQはのちにEMIにも同じ2枚組を録音していて、出来ばえは甲乙つけがたい(なにが不満で再録音したのか謎である。得意分野だ、ということか)ので廃盤などの問題がある場合、どちらでもよい。


127 ブラ-ムス ホルン三重奏曲変ホ長調 Op.40

 この曲にかぎらず言えることだが、ホルンのパ-トは変ホ調だと実音より短六度高く記譜されることになる。ブラ-ムスの音楽には旋律が六度の平行で動く場合がひじょうに多いので「ホルン・トリオ」の場合、しばしばヴァイオリン・パ-トの六度下をホルンが平行して動くことになりがちだ。で、記譜上どうなるかといえばヴァイオリンとホルンのパ-トは見かけ上、まったく同じになってしまう。
 「ブラ-ムスはこういう譜面づらを作ってみたかったばっかりに、この曲を変ホ長調で作曲したのじゃないか、と思ったほどだ」と柴田南雄氏は書いておられる。引用がながくなって失礼。ディスクは同じ1968年に録音された2枚が、よい。1枚はタックウェル、パ-ルマン、アシュケナ-ジ(グラモフォン)。もう1枚はザイフェルト、ドロルツ、エッシェンバッハ(これもグラモフォン)。同じ年に同じ会社から2枚出ていることにいま気づいて驚いているが、わたしとしてはピアノがアシュケナ-ジのほうが安定感があったように思う(エッシェンバッハという人のピアノはたいてい「非力だなあ」という印象をあたえる。損な人だ)。


128 ブラ-ムス ヴァイオリン・ソナタ第1~3番
                     Op.78、100、108

 デ・ヴィ-トがエドウィン・フィッシャ-と組んだ第1、3番が第2番(こちらはピアノがアプレア)とカップリングされて大喜びしたものだが(1954年、56年録音。EMI)、もしかすると廃盤の扱いかもしれない。であればシェリングがル-ビンシュタインと組んだ1960~61年の演奏を、とる(RCA)。


129 ブラ-ムス チェロ・ソナタ(全曲) Op.38、99

 この曲のあまりにネクラな旋律をわたしは好きになれないが、ブラ-ムスを心から愛する人にとっては大事な曲だ。ネタ本で推薦されているロストロポ-ヴィチ盤、フルニエ盤のいずれにも共感できず、ヨ-ヨ-・マとアックスによる盤(1991年。ソニ-)でなんとか落ち着いた。


130 ブラ-ムス クラリネット(またはヴィオラ)ソナタ(全曲)
                             Op.120

 ウラッハとデムスのウエストミンスタ-盤(1952年)がすばらしい演奏だ。古いモノラル録音だが、こうした曲の場合それがネックにはならないだろう。


131 ブラ-ムス ピアノ・ソナタ第3番ヘ短調 Op.5

 はじめてこの曲に接したとき、ブラ-ムスにしてはずいぶん名技性のつよい作品だな、と思った。作品番号が5であることも関係しているのだろう。アラウの1971年のフィリップス録音を推す。


132 ブラ-ムス ピアノ小品集

 ケンプが1963年にグラモフォンに残した録音には第1集と第2集がある。あとバックハウスやギレリスの録音もあるが、1960年にグ-ルドによってソニ-レ-ベルに録音された「間奏曲」をどうしても挙げなくてはいけない。吉田秀和氏も絶賛の1枚だが、初CD化に際して3枚組、7千500円にしたソニ-の商売は歴史にのこる悪徳商法であった(さすがにいまは1枚になっているだろう)。


133 ブラ-ムス ドイツ・レクィエム Op.45

 どちらかというと人気のない曲で、ベ-ト-ヴェンの「第九」からの転用が明確な最後の二重フ-ガ部分だけが比較の対象になることが多い。録音の良さから選ぶとハイティンク/VPOのフィリップス盤だろうか(1980年録音)。しかしわたしはこれまでハイティンクの指揮に心うごかされたことが一度もないききてである。どんな曲を振っても安全運転そのもので、さっぱり体温も血圧も上昇しない彼の指揮を褒める人の気が知れぬ。そこでちょっと録音は古いがクレンペラ-/フィルハ-モニアo.による1961年の盤(EMI)を推す。F.=ディ-スカウの歌唱が光っている。カラヤンは、この曲については苦手と言えるのではないか。


134 ブラ-ムス アルト・ラプソディ Op.53

 だいたいアルトを歌うのはル-トヴィヒで決定ということで、それぞれ彼女を冠したベ-ム/VPO盤(1976年。グラモフォン)とクレンペラ-/フィルハ-モニアo.盤(1962年。EMI)がしのぎを削ることになる。わたしはクレンペラ-という指揮者が好きだがさすがに録音の点で物足りないし、クレンペラ-盤は合唱団が非力ということも手伝って、ベ-ム盤を選ぶ。


135 ブラ-ムス 歌曲集

 まぁF.=ディ-スカウ盤を選んでおけば間違いない。CD初発においては十枚組という大冊であったが、いまは分売もあるのではないか(1972~82年。ドイツ・グラモフォン)。つねづね「結局揃えるのなら安価な全集を」ということを言っているわたしであるが、この曲目についてはブラ-ムス当人とて十枚組を買うことを要求はしまい。それにシュ-ベルトと違って「渋い」曲が多いから、好きなソプラノやバス・バリトンで1枚また1枚ともとめてゆかれることをお薦めする。わたしの個人的な好みではアメリングとプライが好きであった(ロッテ・レ-マンやキャスリ-ン・フェリア-、ホッタ-などの往年の名歌手にも尊敬を惜しまないが、いかんせん録音が悪い)。

  

Posted by コクマルガラス at 12:46Comments(2)TrackBack(0)
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