2010年02月09日
378~381 ロッシーニ~サン=サーンス
378 ロッシ-ニ 歌劇序曲集
若かりしアバドがLSOを振って入れた盤がグラモフォン(1975年)とRCA(1978年)にある。代表的な「ウィリアム・テル序曲」はRCA盤のほうなのでそちらをとるが、その1曲だけをとるならカラヤン/BPOの演奏(1971年。グラモフォン)の鮮やかさの勝ち。大カラヤンのこうした小曲はいろいろにカップリングされ変えて出るので、好みで選べばよいだろう。ちなみにわたしの所有する盤はスッペの序曲とのカップリングになっており、カラヤンの愛した「軽騎兵」序曲が入っている。
379 ロッシ-ニ 歌劇「セビリャの理髪師」全曲
アバド/LSOの録音(1971年。グラモフォン)が決定盤。アバドはこの録音のあたりから「指揮界のダ-ク・ホ-ス」という名前を与えられ、カラヤンに「BPOの後継者になるかもしれない男」と言われた。そのとき挙がった名前はたしかアバド、オザワ、ム-ティ、メ-タだったのではないかと思う。今は昔である。
380 ロッシ-ニ 弦楽のためのソナタ集
わたしとしてはマリナ-/アカデミ-室内o.の結成当時の録音(1966年。ロンドン)が好きである。アカデミ-室内o.は当初その徹底したアンサンブルで人々を驚かせたものだが、その頃の新鮮な演奏がここにある。この曲はモ-ツァルトのセレナ-デやディヴェルティメントなどと同じで、演奏団員の数を少なめにとるか多めにとるかできいての印象が違ってくる。少なめの人数を好む方にはアッカルド、ガゾ-、ムニエ、ペトラッキによる演奏(1978年。フィリップス)がいいだろう。
381 サン=サ-ンス 交響曲第3番ハ短調「オルガン付き」
あまり解釈がどうとか言っても仕様のない曲で、要するに「オルガンがバ-ッと鳴る」ところが景気よくデキているかどうかだ。ミュンシュ/BSO(1959年。RCA)の演奏はいかにも「激情型」のミュンシュらしく好演である。「1959年の録音ではいかにもオ-ディオ的に不満だ」という意見もあろうから、あとオ-マンディ/フィラデルフィアo.の演奏(1973年。RCA)を挙げておこう。オ-マンディ盤はわたし自身が所有していないので推測で推すことになるが、まず間違いあるまい。友人の家できいた印象ではカラヤン盤はダメであった。R.シュトラウスの「ツァラトゥストラかく語りき」の冒頭と同じでオルガンの音のピッチや音色が合っていないと御破算なのだが、効果音が鳴りやんで残響が減衰していくときにピッチが下がってきこえるということも計算に入れないと失敗する。こんな簡単なことは子供に耳にも明らかなのだが、一流の録音技師でもときどき足を出す。録音にうるさいカラヤンもさすがにそうしたことまでには手がまわらなかったようで、あと「幻想交響曲」の鐘の音とか「1812年」の合唱とかでも軒並み失敗しているという話をきいたことがある。カラヤンがもしマ-ラ-の交響曲第8番を録音していたら、やはり頭の部分のオルガンで失敗していただろうか。
Posted by コクマルガラス at 12:15│Comments(83)│TrackBack(0)