2010年02月10日

382~389 サン=サーンス~シェーンベルク


382 サン=サ-ンス 組曲「動物の謝肉祭」

 この曲には室内楽編成と管弦楽編成のふたつがある。わたしはまだ室内楽編成の演奏をきいたことがないので、管弦楽編成のプレ-トル盤を選ぶ(パリ音楽院o.。1966年。EMI)。ピアノを担当しているチッコリ-ニとワイセンベルクがわざとガタガタに弾いている部分など遊び心があって楽しい。プレ-トルの演奏の国内盤ではカップリングがプ-ランクの組曲になっており、動物の名前のついた洒落た管弦楽をきくことができた。いまは変わってしまったろうか。


383 サン=サ-ンス ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調

 グリュミオ-、ロザンタ-ル/ラムル-o.(1963年。フィリップス)の演奏がいい。こうした品のない作曲家の演奏には抑制のきいた感覚が大事だ。フィリップスのこの頃の録音をうまく鳴らせるかどうかはいいオ-ディオ・チェックにもなる。


384 サン=サ-ンス チェロ協奏曲第1番イ短調

 237のラロのチェロ協奏曲のところで「カップリングもふくめてヨ-ヨ-・マがベスト」と述べた。カップリングがいまも変わっていなければサン=サ-ンスのチェロ協奏曲が組み合わせになっているはずだ。ヨ-ヨ-・マの演奏(マゼ-ル/フランス国立o.1980年。ソニ-)は闊達自在でたいへんに美しい。


385 サン=サ-ンス ピアノ協奏曲第4番ハ短調

 この曲にかんしては新しい録音にいいのがない。ロジェ、コラ-ルといったピアニストの演奏をきいても「あまり出来ばえがよくないな」と思う。少し古い録音でフランスの女流が弾いた盤などを推す文章もあり、そうしたディスクもきいてみたがどうといって出色のものでなかった。いまのところカサドシュ、バ-ンスタイン/NYP(1961年。ソニ-)が推薦に値する盤、ということになる。


386 サティ ピアノ作品集

 サティが好きだという人はあまりクラシックそのものが好きでないのではないか、ということを言ったことがある。サティという人じたいが「クラシックという枠組みなど必要ない」と考えた人だからである。サティの作品はXという演奏家できいてもYという演奏家できいてもまったく違いがない。サティがそのように書いたからだ。サティのピアノ曲のディスクをもとめるなら国内盤がよい。なぜなら彼の作品の面白さの半分はその題名にあるからだ。そんなこんなでチッコリ-ニ(1970年代。EMI)。わたしの持っているのは「ベスト・オブ・サティ」という1枚もの。これで充分だ。


387 D.スカルラッティ ソナタ集

 ショパンのエチュ-ドならポリ-ニ、という「決定盤とどめのひとこと」風に言うならば「スカルラッティのソナタならホロヴィッツ」になる。ホロヴィッツ盤(1964年。ソニ-)を初めてLPでもとめたとき、下宿のオ-ディオから流れ出た音の奔流にびっくりしたものだ。ホロヴィッツがノイロ-ゼになって隠棲していた頃の録音で、このレコ-ドをきいては皆がカムバックを祈念したものだ。これは演奏とは関係ない話題になるが、このディスクのジャケットデザインはレタリングを学んだことのある人間なら誰しもつい真似したくなるような逸品であった。


388 シェ-ンベルク 清められた夜

 この曲はミトロプ-ロス/NYP(1958年。ソニ-)の盤だ。1958年のソニ-にしては良好な音で、NYPは翌1959年にバ-ンスタインとショスタコ-ヴィチの交響曲第5番の決定的な録音を残している。いわば絶頂期であって、それ以来NYPの実力が低下する一方なのは残念である。まあそうは言ってもNYPというオ-ケストラは1950年代にあってもワルタ-の指揮なんかだとやけに造反したりして、安定した力を発揮しようにも団員同士ならびに指揮者との仲が悪すぎるのが実態であるが。


389 シェ-ンベルク ピアノ作品集

 グ-ルド盤は4枚組で1958、64、65年に録音されている。1枚ものもあったと思う(わたしもそれを買ったはずだ)が、どっちみち1枚ものを選ぶのであればポリ-ニ盤(1974年。グラモフォン)が最初から1枚であるからコンセプトとしては統一されている。グ-ルド盤がグ-ルド一流のポキポキした骨っぽい音で構造を組み立てているのに対してポリ-ニの演奏はもうすこしグラマラスである。



Posted by コクマルガラス at 07:18│Comments(117)TrackBack(0)

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