2010年01月06日
215~221 ハイドン
215 ハイドン 交響曲第45番ヘ短調「告別」 Hob.Ⅰ-45
ハイドンの90番より手前の交響曲はドラティ/フィルハ-モニア・フンガリカがいい演奏だ(1970、71年。ロンドン)。この組み合わせには全集もあるが、個人的にはまとまったセットものはヨッフム盤がいちばん良いと思う(217の交響曲第94番でそのことについては書く)ので、この曲は単売でよかろう。
216 ハイドン 交響曲第88番ト長調「V字」 Hob.Ⅰ-88
しばしばウィ-ン・フィルを振ったバ-ンスタイン盤が良いと言われるが、バ-ンスタインもカラヤンも晩年にVPOを振るようになると音楽が肥満してしまってわたしは感心しない。NPOを振った1970年代はじめのバ-ンスタイン盤がよかったが、意外に入手困難らしい。ドラティ/フィルハ-モニア・フンガリカ(1971年。ロンドン)の盤を挙げよう。ベ-ムもワルタ-もダメですからご注意を。
217 ハイドン 交響曲第94番ト短調「驚愕」 Hob.Ⅰ-94
218 ハイドン 交響曲第100番ト長調「軍隊」 Hob.Ⅰ-100
219 ハイドン 交響曲第101番ニ長調「時計」 Hob.Ⅰ-101
220 ハイドン 交響曲第103番変ホ長調「太鼓連打」 Hob.Ⅰ-103
221 ハイドン 交響曲第104番ニ長調「ロンドン」 Hob.Ⅰ-104
これらのザロモン・セット(交響曲第93番から104番の12曲をまとめてそのように呼ぶ。ロンドン・セット、と言うこともある)については決定盤が存在する。ヨッフム/LPOによる盤(1971~73年。グラモフォン)がそれだ。現在のところ国内盤は落ちているようだが外盤5枚組でもとめることができる。その5枚組のうちの1枚はヨッフムがバイエルン放送so.やベルリン・フィルを振った同じハイドンの別の演奏というボ-ナス・ディスクである(そのぶんの料金も払うのだからボ-ナスかどうかは疑問だがその1枚をきけばヨッフムという人がどこのオ-ケストラを振っても献身的な演奏を引き出すことのできる名指揮者であったことがわかる)。ヨッフム盤の他にどれだけのハイドン演奏をきいたかわからない(ザロモン・セットだけで数えても30~50枚くらいにはなると思う)が、いまだにヨッフムを凌ぐ指揮者にはお目にかかっていない。
各論でヨッフム/LPO盤以外の面白いディスクを挙げておこう。ザロモン・セット全体でバ-ンスタイン/NYPがいいことは前にも述べた。1970年前後の録音でハイドンのきびきびしたリズムがうまくとらえられている。これに比して晩年(1980年代)にウィ-ン・フィルと組んで残した録音はだいぶ以上にグラマラスになっており、わたしの好みではない。
交響曲第100番の「軍隊」ではクレンペラ-/ニュ-・フィルハ-モニアo.の録音が面白い(1965年。EMI)。まるで象の足取りをおもわせる演奏で20世紀後半においてすらすでに古いスタイルだが、そのずしんずしんとした拍節感は一聴の価値あり。そもそもクレンペラ-の演奏をきくということは「さて、これからいよいよクレンペラ-をきくぞ」という「チャンネルの切り換え」なしにはできないというかやってはいけない行為なのであって、それは程度の差こそあれ誰の演奏をきくときにもあるのだ。それがフルトヴェングラ-やクナッパ-ツブッシュ、クレンペラ-といった、きわめてアクの強い演奏家であるときはなおさらである。
交響曲第103番「太鼓連打」と第104番「ロンドン」はいかなる経緯あってのことか知らないが、カラヤンが執着した曲である。1959年と63年にVPOを振って録音し、1970年代初めと80年代初めにそれぞれBPOを振って録音している。つまり三回録音にのぞんでいるわけだ。結論から申し上げると、全部ダメです。カラヤンがモ-ツァルトとシュ-ベルトを苦手にしていたことはもう語り尽くされたが、ハイドンについてもダメ指揮者であったとしか言いようがない。彼はたとえば「軽騎兵」序曲であるとかロッシ-ニの序曲であるとかいった演目を得意にしていた。どうもその視点からハイドンを演奏しようとしたフシがあるのだが、うまくいかなかったようである。
Posted by コクマルガラス at 12:13│Comments(0)│TrackBack(0)