2009年12月19日

108~125 ボッケリーニ~ブラームス


108 ボッケリ-ニ チェロ協奏曲変ロ長調

 慣行版はグリュッツマッヒャ-の編曲がなされたもの。それをけしからんと言う気はいまのところわたしには、ないのでヨ-ヨ-・マの盤(ピンカス・ズ-カ-マン指揮/セント・ポ-ル室内管弦楽団。1982年。ソニ-)をとる。この盤はハイドンのチェロ協奏曲とカップリングされていて、それも大変すぐれている(のちのちハイドンの項でまた取り上げることになろう)。


109 ボロディン 交響曲第2番ロ短調

 マルティノン/ロンドンso.の演奏を推す(1960年。ロンドン)。まずはこれがよいと思う。


110 ブラ-ムス 交響曲全集

 この4曲についても音楽之友社の『名曲名盤500』の選考では上位から順にバ-ンスタイン、フルトヴェングラ-、カラヤンとなっている。みんな買った人間の感想を言えばこれもみんな「買うべからずの全集」であると言い切れる。
 まずショルティ/CSOのものを選ぶ(1978、79年。ロンドン)。ショルティの演奏はベ-ト-ヴェンで買ってもうじゅうぶんだという方にはヨッフム/BPOのものをお薦めする(1951、54、56年。ドイツ・グラモフォン)。この盤ではヨッフムの指揮もすぐれているし、フルトヴェングラ-時代のベルリン・フィルの音を良い録音できくことができる。


111 ブラ-ムス 交響曲第1番ハ短調 Op.68

 昔からミュンシュ/パリo.の録音(1967年。EMI)の評判がたかい。正直言ってしまうと、この曲は演奏効果の面でどの団体がやってもある程度の線まではいくのだ。ほかにフルトヴェングラ-/BPOの演奏(1952年ライヴ。ドイツ・グラモフォン)も録音が古い以外は迫力のある再現になっていた。


112 ブラ-ムス 交響曲第2番ニ長調 Op.73

 吉田秀和氏が全集の「世界の指揮者」のなかの「バルビロ-リ」の項でバルビロ-リ/VPOのブラ-ムス:交響曲第2番を酷評しておられた。滅多にない酷評盤なのだからきいておいて損はない。EMI。1966年の録音である。そういう斜に構えたききかたは二巡目からでいいとするならば、一巡目にはヨッフム/ロンドンpo.をとるのがいいだろうか(1976年。EMI)。わたしにとしてはこのヨッフム/LPO盤は全集でも推薦したかったのだが、1番の第一楽章で反復がなされる(ジュリ-ニ/LAPOも反復をおこなう)のが好きになれずにはずした。記憶ではヨッフム盤は2番と3番をカップリングしているから徳用といえる。


113 ブラ-ムス 交響曲第3番ヘ長調 Op.90

 このあたりでベ-ム/VPOの実力を堪能しておいてもいいのではないか。第3楽章のはこびが評価をわける曲だけに、そうした難しい再現をやるときのベ-ムの腕を知っておいて損はない。1975年録音。ドイツ・グラモフォン。


114 ブラ-ムス 交響曲第4番変ホ長調 Op.98

 ジュリ-ニ/CSOの1969年盤(EMI)を推す。シカゴ交響楽団を振っていた時期のジュリ-ニの再現には張り詰めた緊張感があって、すばらしい。二巡目あたりならばクライバ-/VPOの演奏(1980年。グラモフォン)もいいだろう。「ウィ-ン・フィルがフルトヴェングラ-やベ-ム以外の指揮者と真面目にやっている」という珍しい盤だ。


115 ブラ-ムス 大学祝典序曲 Op.80

 この曲と「悲劇的序曲」、それから「ハイドンの主題による変奏曲」はなんらかのかたちで交響曲のどれかとカップリングされていることが多い。そうしたカップリングによって「もう聴いた」とおっしゃる方はわざわざわたしの推す盤を繰り返しお聴きになる必要は、ない。わたしはたいていの場合「名曲を一流の演奏家が再現すればまずは名演になります」という持論の持ち主である。名盤さがしに血道をあげては、いけません。
 とりあえずこの曲の「祝典的な」雰囲気にたいへんふさわしいヨッフム/LPOのEMI盤(1976年録音)を挙げておこう。


116 ブラ-ムス ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a

 まずもって挙げなくてはいけないのがセル/クリ-ヴランドo.の盤だ(1964年。ソニ-)。吉田秀和氏が著書において、このセルによる演奏を絶賛したことからこの曲の偉大さと難しさが注目されるようになったのだ。他の盤をあげるのは控えよう。「ハイドン・ヴァリエ-ション・フリ-ク」はわたしだけで沢山だ。


117 ブラ-ムス 悲劇的序曲 Op.81

 「大学祝典序曲」で言ったことがここでもいえる。いかにもブラ-ムスらしくて好きな曲だが重複してCDを増やしてまでもとめることはない。ちょっと変わった再現ということでクレンペラ-/フィルハ-モニアo.(1957年。EMI)の盤をあげておく。


118 ブラ-ムス ハンガリ-舞曲集(全曲あるいは選集)

 わたしはいまだに「ブラ-ムスのハンガリ-舞曲がドヴォルザ-クのスラヴ舞曲を喚起した」という順番がしっかり頭にはいらず、ゴチャゴチャな発言をして人を戸惑わせる癖がある。もともとはピアノ連弾用の曲であるが、管弦楽版のほうが効果があがる。
 アバド/VPOの1982年の全集がいいだろう(ドイツ・グラモフォン)。


119 ブラ-ムス ピアノ協奏曲第1番ニ短調 Op.15

 協奏曲第2番とくらべて、すこしだけとっつきの悪いところがある曲だ。個人的にブラ-ムスのピアノ協奏曲に関しては独墺系よりもソ連系の「巨大な」再現が好きなので、まずギレリスの演奏(ヨッフム/BPOとの共演。1972年。グラモフォン)を。


120 ブラ-ムス ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.83

 この曲のディスクをいったい何枚きいただろう。わたしにとっては思い入れの強い曲だが、リヒテルがラインスドルフ/BSOと組んだ録音(1960年。RCA)がわたしにとってのホ-ム・ポジションである。吉田秀和氏に「重すぎてわたしの感覚ではない」と評された盤だが、ことこの演奏については「この剛腕に比肩するピアニストがほかにいますか」と居直ってしまうのだ。同様にリヒテルに先立って西側(やはりアメリカ)に出たギレリスの、ライナ-/CSOとの録音(1958年。RCA)も凄い。ギレリスは協奏曲第1番とおなじくヨッフム/BPOとも組んで録音しているが、よく引き合いにだされる「西側で演奏するようになって洗練され成熟した」という紋切り型の批評がウソであることがわかる。1972年の演奏でもギレリスはあくまで鉄腕ギレリスである。


121 ブラ-ムス ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.77

 パ-ルマン、ジュリ-ニ/CSOの演奏が素晴らしい(1976年。EMI)。次いで壮年期のオイストラフがクレンペラ-/フランス国立放送o.と組んだ録音(1960年。EMI)を挙げる。オイストラフは1969年にセル/クリ-ヴランドo.とも組んで録音しているが、セルの棒のためにこの曲がいかにもコンパクトになってしまって、オイストラフの大きな表現とはミスマッチ。


122 ブラ-ムス ヴァイオリンとチェロのための協奏曲イ短調 Op.102

 この曲はオイストラフ、ロストロポ-ヴィチにセル/クリ-ヴランドo.の組み合わせがいい(1969年。EMI)。現在のところそのディスクにはカラヤンBPOとオイストラフ、ロストロポ-ヴィチ、リヒテルが組んだベ-ト-ヴェンのトリプル・コンチェルト(三重協奏曲)ハ長調 Op.56がカップリングされていて、そっちが歴史にのこる「ケンカ・セッション」であったという楽屋話からも買っておいて損はしない。


123 ブラ-ムス 弦楽六重奏曲第1番変ロ長調 Op.18

 この曲については決定的な盤が、ない。『名曲名盤500』をネタ本にしていろいろもとめてみたが、どれも「これだ」というには不足した。三種類買ったなかで(アマデウスSQ盤、ベルリン・フィル八重奏団員盤、カザルスの1952年のソニ-盤)いちばん理想にちかいのはカザルス盤だが、録音がよくないし、やはり「近い」のであってベストの表現ではなかった。いま思い出したがメニュ-インのEMI盤(1963、64年録音)が案外良い出来だったと記憶する。


124 ブラ-ムス ピアノ五重奏曲ヘ短調 Op.34

 ポリ-ニの室内楽はめずらしいから、イタリアSQと組んだ演奏(1979年。グラモフォン)がいいだろう。ゼルキンが戦後にブダペストSQと組んだ演奏(1963。ソニ-)と戦前にブッシュSQと組んだ演奏(1937年。EMI)のふたつがよく引き合いに出されるが、わたしはゼルキンの室内楽があまり好きでない。新即物主義の典型的スタイルを楽しみたい方はおききになるといいだろうが、なんとも胆汁質な解釈ですぞ。


125 ブラ-ムス クラリネット五重奏曲ロ短調 Op.115

 いかにも「枯淡の晩年」といった曲だ。モ-ツァルトのクラリネット五重奏曲とカップリングされることの多い曲だが、その両方が充実している盤としては古いところではウラッハとウィ-ン・コンツェルトハウスSQによるウェストミンスタ-盤(1951年)、新しいところではプリンツがウィ-ン室内合奏団と組んだもの(オイロディスク-日本コロムビア。1979~80年)が挙げられよう。



Posted by コクマルガラス at 06:35│Comments(0)TrackBack(0)

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