2010年01月30日

304~309 モーツァルト


304 モ-ツァルト クラリネット協奏曲イ長調 K.622

 なるべく録音のよい盤を先行させてきたが、この曲についてはウラッハ、ロジンスキ/ウィ-ン国立歌劇場o.の盤(1954年。ウエストミンスタ-)が素晴らしい。ウラッハの人懐こい音色はモ-ツァルトやブラ-ムス、シュ-マンなどにぴったりである(もっとも当人は怒りっぽくて厳しい人だったそうだが)。そうした音色を鬱陶しいと思う方にはシア・キングのバセット・クラリネット、テイト/ECOの盤(1985年。ハイペリオン)を挙げる。こちらも目のつんだしっとりとした音色だが、爽やかに吹き抜ける風がある点がウラッハ盤と情緒を異にしている。


305 モ-ツァルト ホルン協奏曲(全4曲)

 この曲についてはブレイン、カラヤン/POの演奏の世評がたかいが、わたしはブレインの再現はすこし音楽が流れすぎる気がするので、とらない。ザイフェルト、カラヤン/BPO(1968年。EMI)、ヘ-グナ-、ベ-ム/VPO(1978~79年。グラモフォン)のいずれも立派な演奏だが、こちらは逆にすこし音楽が重くなっている。そうした状況からタックウェル、マリナ-/アカデミ-室内o.(1971年。EMI)を、とろう。管弦楽の演奏人数も少なめで、シェイプアップされたモ-ツァルトを楽しむことができる。


306 モ-ツァルト 弦楽五重奏曲第3番ハ長調 K.515

307 モ-ツァルト 弦楽五重奏曲第4番ト短調 K.516

 小林秀雄氏や吉田秀和氏がこの曲(第4番の第2楽章であったか)について「トリステ・アランテ(走るかなしみ)」と評されているのを読んで「モ-ツァルトの音楽をひとことで言い表されたように驚いた」と書いておられる。そうした感覚を実際に音楽にすることはなかなか難しいが、アルバン・ベルクSQ(1986年。EMI)はその完璧なアンサンブルと歌心でそれを成し遂げている。ブダペストSQは「モ-ツァルト弦楽五重奏曲集」という3枚組のセットを出しているが、ABQには遠くおよばない。


308 モ-ツァルト ピアノと管楽のための五重奏曲変ホ長調 K.452

 グルダとウィ-ンpo管楽アンサンブル(1960年。グラモフォン)の評判が高い。わたしが30代のとき廃盤できかずにしまったが、いまは復活しただろうか。わたしの所有しているのはプレヴィンのピアノ、ウィ-ン管楽合奏団による1985年のテラ-ク盤だが、これもなかなかいい。


309 モ-ツァルト クラリネット五重奏曲イ長調 K.581

 しばしばブラ-ムスのクラリネット五重奏曲とカップリングされる曲だ。曲想も似通っているから片方がよければまずはもう一方もいい演奏である。新しい録音としてはプリンツとウィ-ン室内合奏団(1979年。デンオン)が濃密な表現をみせる。古い方ではなんといってもウラッハとウィ-ン・コンツェルトハウスSQ(ウエストミンスタ-)であろう。こちらもひたひたとせまってくるような演奏で、ブラ-ムスの演奏ともどもまことに寂寥感にみちた再現になっている。



Posted by コクマルガラス at 12:50│Comments(0)TrackBack(0)

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